私の初めてのバイトは一度も乗ったことがないヨットを教えることだった!

前回の記事で学生時代のバイトについて書いて思い出したことがある。

私の生まれて初めてのアルバイトは、一度も乗ったことがないヨットの乗り方を教えることだった!

私は学生時代にヨット部に入った。

最初の一週間は陸トレ(陸上トレーニング=ランニングとか筋トレとか・・・)で終わりまだ一度もヨットに乗っていなかった。

そんな時、先輩からバイトに行くぞ!と声がかかった。ヨット関係のイベントの手伝いということだった。

先輩の後をついてうろうろしていると、会場でお姉さんのアナウンスがあった。「よい子のみなさん!今日はヨットの上手なお兄さんたちが、みなさんをヨットに乗せてくれますよ!」みたいな話である。

水面にオプティミストという小型ヨットが並んでいる。

「それではお兄さんたち!よろしくお願いします!」ということで、先輩が「おい!行くぞ!」というので、ヨットのところに行き、子供がひとり乗ってくる。

(まずいぞ!俺はまだ一度もヨットに乗ったことがない。それなのにどうだ!俺は小さなヨットに乗り、前には子供がもう乗っているじゃないか!)

すると先輩たちが手際よく出艇し始めた。

私は近くの先輩の艇を見て、帆の角度や舵の角度をまったく同じにした。

するとどうよ!

私の艇もなんとか、ゆるゆると岸を離れた。

(そうだ。これだ。これしかない。船の向きも帆の角度もすべて先輩と同じにするんだ!)

私はひとりの先輩の艇をマークして完全に真似た。

子供が言う。

「ねえねえ!お兄ちゃん!あっちへ行うよ!」

(おい!そんなこと言ってもな!俺はこっちの方向しか行き方がわからないんだよ!(心の叫び))

「おい!ボク!こっちの方がおもしろいぞ!」と、私は引き続き同じ方向に進み続けることを主張した!

先輩の艇が向きを変えると、「よーし!今度はこっちだ!」とまた艇の方向と、帆の角度をそっくり真似た。

そんなこんなしている間に、先輩の艇が岸に向かいだした。

私ももちろんそっくりに真似た。

「もっと乗りたいよ~」(子供)

(やかまし!今先輩の真似をせんかったら帰り方がわからんのじゃ!)(心の叫び)

「うん!ボク!そろそろ帰ろうか!みんな帰ってるしなぁ~」(榎本)

何しろ岸に戻れないのが一番の大問題であった。

私の艇も岸に向かい始めてどれだけ安堵したことか!

よかったこれで何とか岸に戻れる。

私も何とか着岸し、子供を岸にあげた。

ふぅ~

疲れた。

これが私の生まれて初めてバイトだった。

後日「ところで先輩!あの時のバイト代はいつもらえるんですかね?」と聞くと、

「おい!榎本!あれは全部部費にするんだ。」

ということで私は1円ももらえなかった。

世の中というのはいろいろ厳しいところだなぁ、ということを大学に入学してすぐに学んだのであった。

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