マイナス金利や株価暴落への真の対策

経済についてご質問をいただきました。

「ついにマイナス金利が始まりました。私、変動国債がありマイナスになります。しっかり貯めてなんて思っていても、なかなか上手くいかない日本経済になっていますね。
世界中もかなり為替が下落しているようです。
これから、どうしていくべきなのでしょうか?
老後も保障なしですし。
退職金も見込めない。
どうするべきか!」(2016年2月9日 13:05)

今のところ個人向け国債には利息をつけると言っています。

しかし、今回は前回の世界大恐慌(1929年)を上回る大恐慌になるのではないかと見ています。
この事態に対応するためには「金地金」の購入がいいと以前からブログに書いてきました。今から6年前の2009年2月の記事で具体的な買いのタイミングも指摘しています。

当時1g2千円台でしたが、今日(2016年2月10)4795円ですので、2倍になっています。

青い矢印をつけたところが、ブログで指摘した買いのタイミングです。

この時に読んだ動きがいよいよ本格化してきたということです。

ですから実体である金はまだあがると思っています。

その背景を解説します。

1万円札の製造原価は22.2円です。
なぜそれが1万円で流通するかと言えば、「信用」があるからです。

1971年のニクソンショックまで、米ドルは金の引換券(兌換券)でした。
その価値の源泉は金にありました。
いつでも金と交換できるからです。

しかし1971年以降は国の「信用」だけで価値が保たれています。

もともとお金というのは文字通り「金」のことでした。

金貨が流通していました。
ところが金は重たいですから、ヨーロッパにおいて銀行のある支店に金を預けて引換券をもらい、旅先の別の支店でその引換券で金が受け取れるというサービスが始まりました。
しかし、その引換券があればいつでも金が受け取れるため、その引換券自体が流通するようになりました。
それが紙幣の起こりです。

ですから当初は銀行には、引換券と同じだけの「金」が保管されていました。
金を預かった時、初めて引換券が発行されるからです。
しかし銀行家はすごいことに気がつきました。
みんな一度に金を受け取りに来ないので、こっそり引換券だけを発行して使っても何も問題がありません。
これはすごいことです!
原価22円のもので1万円の買い物ができるのですから!

ですから「通貨発行権」を持っているところはめちゃくちゃ儲かるのです。
ただし、その発行元が信用されている間はです。
それを最大限に利用したのがアメリカです。

信用を失ったら最後、みんなが交換に来たら、預かった金以上の引換券を発行しているのですから、必ず倒産します。

ですからアメリカは1971年に、引換券だったのに、引換え自体をやめてしまったのです。それに見合う金がなかったからです。

その後はアメリカの信用と交換のための必要性で米ドルが流通することになります。

そこでアメリカは「人工的に」必要性を作り始めました。

石油の価格は現在1バレル30ドルを割り込んでいますが、なぜ石油はドルで表示されているかというと、アメリカが石油取引を米ドルでするよう決めたからです。
例えばヨーロッパに旅行する時に日本円をユーロに交換すると、米ドルよりもレートが悪いですよね。
あれは日本円をユーロに交換する時、日本円⇔米ドル⇔ユーロと2回為替を交換しなければならないからです。
なぜならアメリカがそう決めたからです。
貿易も米ドルを介さないといけません。

ですから、石油を買ったり、為替を取引したり、貿易したりするためには世界中で「米ドル」を持っている必要があるのです。米ドル(外貨準備高)を持っていなければ世界の貿易に参加できない仕組みを作ったのです。

ですから「米ドル」はアメリカ最大の輸出品です。
アメリカは紙を印刷して輸出し、周辺国は労働して自動車などを一生懸命作って、その原価22円の紙をありがたく受け取ってきたのです。

ですが、サウジアラビアはもうアメリカの言うことを聞かず以前は1バレル100ドルを越えていた石油は30ドルを割り込み、貿易のために多くの米ドルをもっている必要性がなくなってきました。

世界第2位の経済大国中国は元で直接貿易を始めています。

世界中から米ドルをもつ「必要性」が消えているのです。

以前より米国は双子の赤字、(財政赤字、貿易赤字)と言われていましたが、主要輸出品である米ドルの「必要性」が世界中で減少し、返品(米国債の売却、米ドル売り)が相次いでいます。

さて、実体経済の引換券として機能しているだけならいいですが、実体を伴わない信用の部分が一人歩きしてきました。
FXは聞かれたことがあるかと思いますが、例えば為替取引額は、実際の貿易の100倍以上もあるのです。

まぁ要するに、実体を伴わない信用の部分でバクチをして遊んでいるわけです。
株も同様です。

そのバクチで失敗してリーマンショック(2008年9月15日)が起こりました。

その時は「金融緩和」で日米欧中国、世界の中央銀行がお金を刷りまくって支えました。

マイナス金利というのは預けているだけでお金が減るということですから、今ではそこまでして、銀行からお金を下ろして株でも買ってくれ!と言わなければならなくなりました。

それでも株が暴落しています。

銀行は日銀に預けてもマイナス、株を買ってもマイナス、企業は業績が悪くてマイナス。銀行の株価はどこも大きく下げています。
もう収益をあげるところがなくなっています。

もう通貨も含め実体のない「信用」が臨界点に達しつつあると見ています。

「どうするべきか!」ですが、「実体」に戻ればいいんです。

例えば最初にあげた金地金はひとつの「実体」です。

例えば本当に「人に貢献している」企業は実体です。

土地なども実体です。

預金は実体がありません。信用ですので信用が崩壊したら銀行には預かったお金はないのです。株などを買ったり、貸し出した企業が赤字になったりしていますからね。

年金もそうです。
安倍政権は私たちの年金を使って、去年から株の買い支えを行ってきました。
まだ1年もたっていないのに、株の暴落で1年分の国の税収(60兆円)分以上損しています。
私たちが実体で働いて稼いだ年金を信用に投入して一瞬で失ってしまいました。

もう政府にもお金がなく、借金で身動きとれなくなっています。
そこで国が「借金するとお金がもらえる」というすごいことをやり始めました。マイナス金利です。

お金はどんどん刷って価値が下がり、銀行に預けてもお金が減る。
使うしかないが使うところがない。
「実体」にお金を換えておくのが賢明です。
なぜなら金融緩和やマイナス金利下では通貨の価値がどんどん目減りするからです。

なぜ円高になっているかというと、米ドルの方がもっとひどいからです。
日本はまだ実体として価値を生み出す力をもっていますからね。

しかし、私はこれはとてもいい変化だと思っています。
本来22円のものを1万円で流通させて利益を得たり、
為替や株の「信用取引」で膨大な利益を得たり、
あるいは大きな組織が「人事や会議」ばかりで人々に貢献していなかったり。

そういう部分が剥げ落ち本質的な「実体」の部分だけが残る過程だとみています。

ですから私たちの仕事も「本当に人々に貢献しているか」を問う必要があります。

もし私たちの仕事が本質的に「人々に貢献」していないなら、私たちの仕事はなくなる可能性があります。

しかしそれはいいことです。

「人々に貢献していない」ものが消え、真に「人々に貢献している」ものに移動する過程だからです。

ですから、私たちにできることは自分の仕事は「本当に人々に貢献しているか」と問うことです。そして、そうでなければ「本当に人々に貢献する」仕事に変化させていくことです。

それは今の仕事を変化させることかもしれませんし、別の仕事をすることかもしれません。

いずれにしても「本当に人々に貢献しているか」を自分に問い、自分の人生をその方向に導いていけば、「実体のない」ものがどれだけ崩壊してもかまいません。影響を受けなくなります。

たとえお金がない世の中になったとしても「本当に人々に貢献している」人は常に必要とされるからです。

そういう意味で日本は欧米よりも企業に「実体」が伴っているものが多いです。

ですから、「実体のない」欧米に比べ、円高になる局面もあるでしょう。

しかし米ドルの信用崩壊の過程では、他の通貨も同様に、無傷ではすまないでしょう。

いずれにしても「実体」に移行していくことが真の対策と言えます。

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