合唱「筑後川」を巡る自転車の旅 その3

GW初日、突然「旅に出たい」と言い出した長男と、自転車で160km走り柳川に着き、翌日近県で唯一空きがあった熊本県大津市の宿に100km走って到着したのであった。

大津の宿を出発したふたりは菊池へ向かうことにした。
熊本から大分へ最短の国道57号線を走るのが最短ルートであるが、世界最大のカルデラ阿蘇の外輪山を通過せねばならず、「あの登りはきつかろう」ということで、いったん大津から北上し、菊池を目指すことにした。

大津から菊池へのルートは立派な並木が続く、比較的起伏の少ないのどかないい道で、自転車旅行にぴったりのルートだ。

菊池を越えると日田街道(国道387号)に入って日田方面を目指す。
途中兵戸峠なる峠がある、車で通り過ぎると特段意識するこなく通りすぎる峠かもしれないが、自転車は違う。
峠を越えるまでは、スローペースの登りの連続であり、いったん峠を越えると、しばらくこぐこともなく走り続けることができる。
熊本県と大分県の県境の峠でもあり、雨がちな天気も兵戸峠のトンネルを越えると一変して晴れ間が広がった。

しかし、そのまま下ると雨にぬれた体は、こがないのにハイスピードの風になん十分もさらされ、体が心から冷えることになる。
峠を越えたらその時は暑くてもジャケットを羽織らなければいけないことを学んだ。体がすぐ冷え、なかなか止まるチャンスがない。

日常の自転車生活ではこんな大きな峠を越えることはなかなかない。

峠を越えると「蜂の巣湖」というダム湖を通過し、小国へ入った。

私は小国から九重町あたりを通って湯布院に抜けるルートを想定していただ、ここで長男はえらいことを言い出した。

「久住山を見てみたい」

久住山の南麓の「瀬の本峠」を通って大分に帰りたいというのである。
久住山は九州本土、最高峰である。
こんなことなら阿蘇の外輪山を通過したほうがよかった、と思わないでもなかったが、ここまで来て思いを残すとまた「旅に出たい」と言い出すかもしれない。
ここは思いを遂げさせてやろうと、小国から黒川温泉を通過し、瀬の本峠を目指すことになった。

この峠はまったく兵戸峠どころではなかった!

ギアを軽くしてひたすらこぐ、こぐ、こぐ・・・・・

瀬の本峠に着いたときは、本当に大地に座り込んで足を投げ出してしまった!

ここからコースの眺めは本当に最高であった!

気持ちのいい高原の道を快調に下り続ける。

結局自宅に帰りついたのは夜の10時過ぎ、この日の総走行距離は156km、11時間57分の自転車旅となった。

2泊3日で416km走った。

この3日間、自転車をこぎ続け、雨に打たれ、泥を跳ね上げられ、峠で体がほてり、下りの連続で体が芯から冷え、毎日へとへとになるまで走った。

長男の「旅に出たい」という単なる思い付きにつき合ったが、最近はこんなに全力で、へとへとになるまで何かをやることはなかった。

風呂上りなんだかさわやかな気持ちでビールを飲んだのであった!

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