【アッペンツェル】車も電気もない!アルプ小屋に泊まってみた!

インナー(奥)アッペンツェルを歩く

ヨーロッパの平野は今夏猛暑だが山間は涼しい日本のGWの頃のような快適な気温で過ごしやすい。実は私は日本100名山を半分座以上登っていて結構山が好きだ。特に印象に残っているの北アルプスで、それなら本当のアルプスを歩いてみたらいいじゃないか!と思いついた。

一昨年、アイガーやマッターホルンの見えるトレッキングルートを歩いてみたのだがアイガーのコースはベビーカーを押してい人もいるほど楽勝だった。

もう少し長いルート歩いてみたくなったのだ。

去年久ぶりに登山靴とレインウェアを新調し、日本百名山を新たに3座登ってみた。特に戸隠の高妻山は標準コースタイム9時間で、日本百名山の著者・深田久弥も「高妻山への長い登りは急峻で、実に辛かった。ようやく頂上に達して私の喜びは無上であったが、もう乙妻まで足を伸ばす元気がなかった。」と書いている。

この高妻山をほぼコースタイムでこなせた。

スイスのAppenzell(アッペンツェル)地方にきてみた。

たまたま写真で見た山小屋と湖の写真がきれいだったからだ(笑)(クリックで拡大)

上図(G)のWasserauen(ワッサーラウエン)まで鉄道の駅がある。そこからケーブルカーで一気に、Ebernalp(エーベンアルプ)まであがる。

エーベンアルプとワイルドキルヒ

歩き出すと直ぐに洞門になった。

洞門の出口にある小屋。

石器時代の骨がたくさん出土したそう。

スイス人は石器時代からこんな高い所に住んでいた!

少し進むとWildkirchli(ワイルドキルヒ)が見えてくる。

文字通り「野生の教会」だ。今はケーブルカーがあるが昔の人はこんなところまで登ってきて礼拝したのだろうか?

うひゃ〜っ

こんな崖にへばりついた小屋があるのか!

と、今回の旅のきっかけになったAescher (エッシャー)小屋。

山側の壁はそのまま岩になってる!

ここで食事にする。

地元のチーズやハムなどが滋味深くてうまい。

このAescher(エッシャー)小屋から下のSeealpsee(ゼーアルプ湖)まで降りていく。

Seealpsee(ゼーアルプ湖)

ここはハイキングアプリでは「危険箇所あり!」と警告が出る。

こういう警告が出る場合はいったいどのくらいの難易度なのか!?

結論を言えば日本の北アルプスの鎖場などの方がはるかに危険であり、北アルプスで小屋泊山行のできる装備と経験のある人なら問題なく歩ける。

谷まで降りてきた。

ゼーアルプゼー(Seealpsee)だ!

鴨も泳いでる。

親ガモが3匹の子ガモを護衛しながら泳いでる(笑)

湖畔の小屋で牛乳を頂いた。

甘くてうまい。

みんな思い思いに楽しんでる(笑)

このゼーアルプゼー湖畔を一周している途中「こんにちは!」とひとりの若い日本人女性ハイカーに挨拶された。特に何かをしゃべっていた訳ではないのだが、日本人特有のオーラでも読み取られたか!挨拶を返すと「お互いこんなところまで来ちゃいましたね」みたいな表情をしていた(笑)(笑)

インナー(奥)アッペンツェルを歩く

私はまだ3時間以上歩いて③のSeealpseeから②のFahlenseeを目指す。

この立体図で見ればFahlenseeはずいぶん標高が高いとわかるのだが、平面地図アプリではなかなか実感がつかめなかった。

湖から湖だから多少の傾斜かなと思っていたら実際には湖がロフトの上にある感じだ(笑)かなり段差がある。

スイスでの登山ルートマーク。

赤いラインが必ず道と平行になるように書いてあるので日本のルートマーク「○」よりわかりやすい。

深いガス(霧)の中でも赤いラインが浮かび上がって進行方向を指してくれる。

正面に食事をとったエッシャー小屋が張り付いている岩の亀裂が見える。

水場。

圏谷の壁面を登り返している身にはキンキンの水がたまらなくうまい。

岩の亀裂に張り付いているエッシャー小屋よりもずいぶん高く登ってきた。

横の教会(Wildkirchliワイルドキルヒ)にこんな高いとことに誰がわざわざ礼拝に来るのか!と思っていたらその上にも家と牧場があった!おそるべしスイス人!

ついに峠越えたぞ!

中央に見える小屋の近くにFahlensee(フェーレンゼー)があるはずだ。

圏谷の急降下を終えてほっと一息、持参のパンでおやつにする。

スイスの山のいいところは数時間歩くようなところでもどこからかカウベルの音がコロコロと聞こえてきて、人の生活の気配がする。もし万が一のことあっても助けを求められそうな安心感がある。

フェーレンゼーアルプ

Fahlensee(フェーレンゼー)が見えてきた。

この奥の湖畔に今夜の宿があるはずだ。

フェーレンゼーアルプが見えてきたぞ!

ここにつながる車道は一切ないのにどうやってあの家を建てたのだろう?

家の壁は岩で出来ている。

原料は周囲にそびえ立つ山から転げ落ちて来た岩に違いなかった。

どうか今夜落ちてきませんように〜っ!><

ヤギさんたちは落石の周りがお気に入りらしかった。

受け付けに行くと本当にアルプスの少女ハイジのような格好をしていてびっくりしてしまった。

聞けば今日はここでお祭りがあって、神父さんや親戚が集まったそう。こういう日は伝統の服を着るそう。

こちらがお祭りが行われたほこら。

これも落石を利用して作られている。

ここで長年伝統のお祭りが行われているわけだからこのクラスの落石は数百年に一度なのかもしれない。

そう祈る私なのであった。

アーメン。

ここにはニワトリや

豚さんもいる。

「今夜の寝床はここよ」。とスタスタと階段上っていくあとをついて行こうとすると、暗闇に巨大な生物が横たわっていて一瞬たじろいだ。

が、階段を上下しても牛さんの角で小突かれることはなかった(笑)

今夜の寝床。

シーツ的な寝袋は持参する仕組みになってる。私はスペイン巡礼時に使ったのを持ってきた。

しかし車も来れないこんな所にどうやってこんな立派な木材を運んだのだろうか。

ここには電気がなく日が暮れたら寝るしかない(笑)

おそらく湖のほとりの針葉樹を切り倒して、湖に浮かべてロープをかけ、家畜に引っ張らせるなどしたのだろう。

ここの住人は自らが優秀な石工であり、木工職人でもあるのだ。

事実今日のお祭りが終わった後、もう夕方だというのに民族衣装を普段着に着替え、男たちは黙々と家畜を集めて乳を絞り始め、年長の男性は何やら木工大工をはじめた。

とても勤勉なのだ。

このスイス人のDNAがスイス人の勤勉さ、一人あたりのGDPの高さにつながっているのだろう。

アルプの食事

食事はマカロニにアルプのチーズに牛乳カリカリのベーコンで塩味を増してある。

シンプルだが実にうまい。

マカロニ以外はすべてこのアルプでとれたものだ。

私にしてみたら山に囲まれた湖のそばのただの草地にしか見えないのだが、こんな何もないところで、すべて手づくりで暮らしを成立させ、うまいものを食う知恵に驚嘆した!

ちなみにここは1泊2食付で48フラン(8700円)

日本の山小屋よりずっと安いぞ!(笑)

湖がお風呂(笑)

「シャワーは?」と聞くと、「湖で泳ぐことができる」と指さした(笑)

「ここの日暮れは6時。日が落ちると寒いので泳ぎたいなら早めがいい。」と教えてくれた。

事実アルプの人たちも夕方になると湖に泳ぎに行った。

これがアルプのお風呂なのよ!(笑)

パンツ一丁になり足を浸ける。

ぐへっ!

冷たいっ!><

しかし私はサウナの冷水で鍛えており、徐々に慣らして泳いだ。

ざぶんと顔をつけて、泳ぎながらワシャワシャ頭を洗った。

今日はよく歩いて汗もかいた。

さっぱりよ^^

湖から上がって岩の上で体を乾かしていると、カモさんたちも泳いでいる。

しばらくすると体がポカポカしてきた。

日暮れが近づくと風が止まった。

岩の上に座って刻々と変化するアルプの景色を飽きずに眺めた。

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