【放射能は7時間で10分の1】原子力災害時、「不要な混乱を防止する」ため、国は常に「最大限国民を被爆をさせてきた」

総務省の資料によると残留放射能は7時間ごとに10分の1ずつ減衰する。

だから、放射能がきている7時間だけでもよりよい場所でしのげれば被爆は10分に1に抑えられる。

要するに、放射能が来てる7時間だけでも外出せず、自宅のマンションにとどまっていれば被爆を10分の1近くに抑えられる。

2011年3月11日に東日本大震災が発生し、翌12日には福島第一原発が爆発した。

風向きが変わり放射能が首都圏に到着したのは3日後の15日である。

例えば、新宿にある東京都健康安全研究センターで測定された環境放射線の測定結果は以下の通りだった。

この15日のピークだけでも、外出せず自宅マンションの中でやり過ごせば、ずいぶん違うと、総務省の資料は教えている。

15日の放射能到来は予測できたか。

できていた。

放射性物質の拡散状況を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による試算結果を3月14日の段階で米軍に提供していたと、国会の「事故調査委員会」の質疑に参考人として招致された文部省の担当者が明らかにした。

さあ、このものすごい放射能のピークが翌日15日に首都圏を襲うことは、前日の14日は文科省は把握し、米軍には伝えていた。

あとは天気予報と同じである。

「首都圏のみなさん 明日は風向きにより、福島第一原発事故の放射能が飛来することが予想されます。不要不急の外出はできるだけ控え、自宅マンションや公共施設などのコンクリートの建物内で過ごされることをおすすめします。」と14日に放送すればいい。

それで何百万人もの被爆が防げた。

で、文科省はどうしたのか。

我々には知らせなかった。

「実態を正確に反映していない予測データの公表は混乱を招きかねない」からだそうだ。

天気予報で、「実態を正確に反映した予測」などない。

予測というものは、実態を反映していないのは当たり前だ。だから予測なのだ。

もし前日の14日にこの予報を出して、風向きが変わって、首都圏に放射能が飛んでこなかったとして批判する人がいるだろうか。

天気予報が外れのと同じだ。

台風の予報で休校になり、実際は穏やかに晴れることは珍しくない。

こういう放射能の嵐が来ている時、臨時休校にして生徒を被爆から守るのが文部科学省の役人の役割というものだろう。

たとえ予報が外れても国民は、被爆を最小限にとどめようと真摯に努力しているのだなと感謝するだけだ。

結局14日に米軍には知らせたのに、国民には知らせず、15日の1日だけだった被爆のピークを回避できるにも関わらず、無防備のままの国民を街を歩かせ、数百万人も被爆させた。

予報が外れる混乱と、実際に数百万人被爆させることとどちらが重要だと思っているのか。

31年前の【チェルノブイリ原発事故】時も、政府は基準値を何倍も超える汚染の最大のピークを国民に意図的に教えず「すぐに健康に影響があるようなデータではない。」と答弁していた。

戦後たった2回しかない、基準値を超える広範囲な放射能被爆事故に対おいて、最大の被爆のピークを2度とも国民に知らせず被爆させ、それは「不要な混乱を防止する」ため、「すぐに健康に被害はない」と同じ対応をしている。

これは意図的である。

それは「地域防災計画」の「目的」が通常の災害では「健康、生命、財産を守る」と規定されているのにもかかわらず、「原子力災害」においては国の方針に従って「不要な混乱を防止する」と「だけ」なっていて、これが役人の行動の拠りどころとなっているからだ。

だから、原子力災害時、国は「不要な混乱を防止する」ため、常に「最大限国民を被爆をさせてきた」。

「不要な混乱を防止する」と「だけ」規定されている原子力災害防災方針は本当に恐ろしい。

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