私たちは古典物理学の絶対的な世界観で思考している
私たちは世の中には絶対的な尺度、価値観があり、それを身につけ、それに従って思考しようとしてきました。
例えば偏差値などはその代表ですね。
あるいは誰もが日常生活で耳にする「あなたは間違っている」「あなたはここを直すべきだ」というような意見です。
その考えには「私は何が正しいか間違いか全員に共通する尺度を知っている。」という前提があります。
私たちが日常経験する世界。
すなわちニュートンの古典物理学と、マスクウェルが4つのきれいな方程式にまとめた古典電磁気学においては、「絶対空間」と「絶対時間」、「物理量はいくらでも正確に知ることができる」と仮定され、実に見事に私たちが日常経験している世界を説明しています。
私たちが利用してる自動車やインターネット、ありとあらゆる電子製品はこの古典物理学の理論によって見事に機能しています。
3次元空間や時間の流れは常に一定であり、どんなことがあっても変わらない、物体の速度、位置などの物理量はいつも正確に定まっており「絶対的」なものであると「仮定」したうえで成り立っているのが古典物理学です。
それは私たちの五感の実感であり、私たち自身もこの古典物理学の世界観(時間も空間は絶対である)を前提に思考しています。
それが「あなたは間違っている」「あなたはここを直すべきだ」という意見につながっています。
この世の中は「絶対的」なものであり、それを知っているならば、当然の意見でしょう。
この世界についてできるだけ多くの絶対的知識を学び、いい偏差値をとり、この絶対的な世界についてより多くのことを知っていれば「勝ち組」になるのは当然のことです。
親も学校の先生も、よかれと思って、この絶対的な世界に関する知識をできるだけ多く学び、偏差値をあげて「勝ち組」になるように子供を育てようとします。
それが「正しい生き方」だと、親も学校の先生も認識しているわけです。
そういう世界では、当然「より多くの絶対価値」を知っている目上の人の言うことを、まだ「絶対価値」を知らない人は従った方がいい。
あなたの考えでは、自動車も動かないし、飛行機も飛ばないし、スマホも作れない。
どうやったら、スマホが作れるか、どうやったら自動車が動き、飛行機が飛ばせるのか、それを知らない人は、知っている人に敬意を払い、お金を払い、従うしかない。
まさに「知は力」です。
これが古典物理学の世界であり、私たちの頭の中の世界観です。
この世の中は古典物理学では説明しきれないことがわかってきた
しかし、この世界を観測する技術の高まりなどによって、古典物理学では説明しきれない現象がいくつも観測されるようになってきました。
物質を構成する素粒子は「絶対的」なカチッと固まったものではなく、いわば「波」のような状態であり、「ここにある」ことは確率論的にしかいえないし、その方がうまく説明できることがわかってきたのです。
「不確定性原理」です。
量子論と同時期に発展した相対性理論は、特殊相対性理論(1905年に発表)と一般相対性理論(1916年に発表)に分かれていて、それぞれ別物ですが、特殊相対性理論によって「絶対空間」「絶対時間」の概念が覆されました。
空間や時間は観側者の速度によって混ざり合う相対的なものであり、絶対的なものではないことが示されたのです。
NHK番組「アインシュタイン 相対性理論 第1回」
8分40秒付近。
「他の人(物理学者)はなぜ、これにたどり着けなかったのでしょう?」
みな「時間は絶対という固定概念にとらわれていた」からです。
NHK番組アインシュタイン 相対性理論 第2回 part1)
この上の再生前の画像。
(上半分は宇宙船の中で観測すると、中央の光源からの光は左右に同時に到達するように見え、小惑星(宇宙船の外)から、進行する宇宙船のこの装置を観測すると、宇宙船の進行方向と逆の的に先に光が到達することが観測できる。)
つまり同じ現象を観測して、「片方の人物にとっては同時であることが、もう片方の人物にとっては同時ではないということが起こるのです。」(上記動画の5分付近)
女性司会「同じ現象を見ているはずなのに、見る人によって同時に旗があがったり、同時でなかったりするというのはだまされているような・・・」
東京大学佐藤勝彦名誉教授「どうちらも正しいんですよね。・・・時間は不変ではないということ、これがアインシュタインが見つけた本当に革命的なこと、重要なポイントです。」
女性司会「どちらでもない第三者みたいな、そういうこう絶対的な座標っていうんですか、絶対的な見方で、見るとどうなるんですか?」
東京大学佐藤勝彦名誉教授「絶対的なものってないんですよね。全部相対的ですね。ですから本当にみなさんそれぞれ正しいんですよ。人が間違っていると言う資格は何もありません。自分は正しいと思ってよろしいです。」
司会「僕らは世界標準時とかさ、どこか俯瞰で見たら、正しいものが、絶対的なものがあるのかなと思ってしまうんですけど」
東京大学佐藤勝彦名誉教授「つい思ってしまいますよね。まさに私たちの固定観念ですよね。」
司会「アインシュタイン前の人たちは想像できなかったわけですよね。そんなのあるはずないというか。」
東京大学佐藤勝彦名誉教授「まったくそうだと思いますよ。」
世の中の時間と空間は絶対であり、この世には絶対的な座標軸や価値観があると思っている人は、頭の中がいまだに100年以上前に発見された相対性理論以前の古典物理学の世界になっている。
「みんなちがって みんないい」
すなわち、宇宙物理学者の東京大学佐藤勝彦名誉教授が言うところの「絶対的なものってないんですよね。全部相対的ですね。ですから本当にみなさんそれぞれ正しいんですよ。人が間違ていると言う資格は何もありません。自分は正しいと思ってよろしいです。」
それが、真の宇宙の存在のあり方であり、量子力学と相対性理論に立脚した人生の生き方なのである。
今人類の思考は古典物理学の世界から、量子力学と相対性理論による真の宇宙の理解に急速に移行している。
「あなたは間違っている」「あなたはここを直すべきだ」という人は、いまだ100年以上前の古典物理学に立脚している滅びゆく絶滅危惧種であり、コペルニクスやガリレオを弾圧した天動説を信じ続けた人々と同じだ。今天動説を信じる人が皆無のように、「みんなちがって みんないい」を理解し、人生で実践している人が、相対性理論の説明する真の宇宙の理解に立脚したこれからの地球に生きていく人々なのである。