今日は比較的アップダウンの少ない道と読み、途中に大きな街もないことから90km近い走行距離になる。
途中でわれらがコンビニ、道沿いにフルーツを結構売っていて、冷えたスイカで水分とエネルギーを補給する。半たま100円くらい。
このくらいの年齢の方になると結構英語ができる。
この人は「日本から来たの?」
「わぉ!どうしてわかったの?」
「日本人を見たことあるの」
どうやら私は日本人的らしい。
「息子さんとサイクリング?いいわね」
「私は1歳と5歳の子供がいるよの。あなたは?」
スイカをほおばりながら世間話が続く。
時々顔を見せるこの方のお母さんは「一体何語を話しているのやら」みたいな顔をしている。一世代上は英語はダメみたいだ。
昼食はこんなプールの側の素敵なところで食べても数百円なので助かる。
この昼食後、こぎ出すとギアの調子がおかしい。
そうこうしているうちに、後ろのギアがぶっ壊れてとれてしまい。
走行不能になってしまった。
走行不能になったらどうするのか。
押して歩くのである!
それしかない。
しかし、まだ50km近く残っている。
歩いて日暮れまでに着くわけがないが、とりあえず押して歩くしかない。
自転車屋はまったくなく、バイク屋に見せても「うちではダメだ。
この先の店で聞いてごらん」と、ギアをひもで縛ってくれた。
とぼとぼ押して歩く。
歩くしかない。
歩き続けるしかない。
3件目のバイク屋のお兄さんがちょっと見せてごらんと前向きな反応を見せてくれた!
「このギアをとって、チェーンを切断し、とりあえず乗れるようにしてあげる。」
身ぶり手振りだが選択の余地はない「オーケーオーケー 思いきってやってくれ!」
これがお兄さんの道具箱。
ドラえもんのポケットみたいなもので、何でもここから取り出してやってしまう。
時々、庭に落ちてるものを拾って何をしているのかなと思うと、道具を見つけてくる。(片付けなさい!)
ちなみにここは空き地ではなくて、お兄さんの店舗です。お間違えのないように。
1時間前後一生懸命やってくれて、お代は240円くらい。
ありがたし!
これで取りあえず走行可能になった。
走ることは走る。
ギアも固定されて、ちょこまかちょこまかこぐ。
しかしまぁ歩くよりマシというくらいだ。
こぎ続ける。
しかし今日の宿はまだ40数キロ先だ。
しびれを切らした長男は、日が暮れるから先に行っているという。
安全を考えればそれは合理的だ。
私は野宿でも長男はゆっくり寝られる。
長男は、ちょこまかちょこまか走る私をおいて、どんどん先に行ってすぐに姿が見えなくなってしまった。
必死にちょこまかちょこまか追いかける。
スピードが出ない。
悲しい。
このままでは私は日没まで絶対に到着できない。
このまま私はちょこまかこぎながら日暮れを迎えてしまうのか。
ちょこまかくるくる足を回しながら、切なさが込み上げてきた。
こうなったらワープするしかない!
走りながらも奥に停めてあった軽トラックを見逃さなかった。
「Hello!」
「Is this your truck?」
「Yes」
「I want to go SINGARAJA with my bicycle.」
バリの人もスマホを持っており、googleマップで宿の綴りを教えれば話は早い。
交渉成立じゃ!
兄さんがシートベルトを締めたように見えたので、私も締めようとすると、下の方の留め具がない。よく見るとお兄さんのもない。
お兄さんは「OK ~OK~」と言う。
要するに外から締めているように見えればいいらしい。(笑)
お兄さんは快調に飛ばす!
ワープじゃ!ワープ!
わっはっは~
しかし、お兄さんは反対車線にバンバン飛び出して、追い抜かす。
反対からバイクや車がくるので冷や冷やだ。
下手なジェットコースターよりスリルがある。
30分くらい走ったところで汗だくになって走る長男発見!
窓からひじを出して「アール ユー オーケー?」とバリなまりで声をかける。
わっはっは~
ワープじゃ!まいったか!
寛大な父は、私を見捨てて走り去った長男をピックアップしたのであった。
バリ島北部最大の街SINGARAJA(シンガラジャ)に入ってきた。
今日の宿は街外れのビーチだ。
自転車がぶっ壊れてずいぶんロスタイムをしたが、日暮れ少し前に宿に着くことができた。
ひとり千五百円。
やれやれ一息ついたわい。
ん!待てよ。
まだ自転車はちょこまかのままだ。
このままではまだ半周も残ってるバリ島を走り通すことはできんぞ。
どうすべぇ~><