【モジュッド】あるスーフィーの神秘家の真実の生の物語「自分のハートの喜び」に対する信頼が大切なのだ。

スーフィーは回転する瞑想ダンスで有名な人びとだ。

京都鴨川でお茶を売っていた売茶翁の話を聞いて、

あるスーフィーの聖者の物語を思い出した。

もうずいぶん前に買った本だが、まだ本棚にあったので20数年ぶりくらいに取り出して読んでみた。

彼は市場監督官として、お役人としての生涯を終えようとしていた。

ところがある日スーフィーの「神秘的ガイド」が彼に現れ、「仕事を放りだして3日のうちに川岸にいる私に会いに来るがいい」と告げる。

この「神秘的ガイド」はいわゆる魂の声、私の言うところの「ハートの喜び」だ。

彼はその「神秘的ガイド」の声に従って、川岸に行ってみた。

するとその神秘的ガイドは、「すべてを捨てて流れに身を投じるがいい。」と告げた。

彼は自分でも頭がおかしくなったのではないかと思いながらも、すべてを捨てて流れに身を投じた。

そしてその大河に流され、かなり流されたところで漁師に拾われる。

彼は漁師に言葉を教えながら、漁を手伝い食べ物を得て2,3か月過ごした。

するとある夜「神秘的ガイド」が彼の足もとに現れ、「ここを立ち去れ、必要なものは与えられる。」と告げた。

彼は夜のうちに漁師の服を着たまま歩き出した。

道を歩いているとロバに乗った農夫に出会い、手伝うことになる。

彼は結局2年近く農夫の元で働き、すっかり農作業を覚えた。

すると「神秘的ガイド」が現れ、「歩いてモスルの街に行き、皮商人になるがいい」と告げた。

彼はそうした。

その3年後には彼は皮商人として成功して少々の財をなし、家を買おうと思い始めていた。

するとまた「神秘的ガイド」が現れ、「そのお金を寄こしなさい、そして遠くサマルカンドまで歩いて行き、そこにである雑貨屋のために働きなさい」と告げた。

彼はそうした。

「ほどなくして彼は光明の疑いようのない兆しを見せ始めた。

彼は病人を癒し

ひまなときは店の仲間に仕え

神秘についての彼の知識はますます深まっていった。」

(「モジュッド 説明できない生を生きた人 p32」ちなみに絶版のようです。)

人々は彼の話を聞きに集まるようになり、ある人が

「あなたの生涯はどのようなものだったのですか?」とたずねた。

すると彼は

「私は市場の役人だったが、ある日河に飛び込み漁師になった。

それからある夜そこを抜け出し、農夫になった。

そしてモスルに行って皮商人になった。

そこで成功しお金を貯めたが、人にあげた。

それからサマルカンドに歩いて行き、そこの雑貨商のために働いている。

それが今の私だ。」

「しかしこの説明できない行動だけでは、あなたの不思議な天分に光を投げかけることはできません。」

そこで、伝記作家たちは、彼に代わってすばらしい、胸のすくような聖者の物語を仕立て上げた。

しかし、これが最も偉大なスーフィーの聖者の「真実の生」なのだ。

というお話です。

ええ話やなぁ~

結局いかに「自分のハートの喜び」を信頼できるか、

自分自身の魂の声を信じられるか、

そうするとどのような道であれ「本当の自分」にたどりつく。

外に見える道が重要なのではなく、「自分のハートの喜び」に対する絶対の信頼が大切なのだとこの物語は教えている。

私はそう理解している。

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