レオンは道全体が世界遺産に登録されているサンディアゴ巡礼路フランス人の道の途上にある。
巡礼をするにはクレデンシャルと呼ばれる巡礼手帳を入手する必要がある。
レオンの大聖堂は、スペインで最も美しいステンドグラスで有名だ。
このレオンの大聖堂にほど近い巡礼宿(アルベルゲ)で「クレデンシャル」を発行してもらった。
ちゃんと巡礼路がたどれるかなと思っていたが、石畳に貝のマークが埋め込んであり、それを辿っていけばいいことがわかった。(田舎になると黄色いペンキの矢印となる。
クレデンシャルはスタンプラリーになっており、日付も書いてもらう。そのスタンプを集めることで巡礼したことを証明する仕組みになっている。
またこのクレデンシャルがないと巡礼宿(アルベルゲ)には泊まれない。
徒歩以外に自転車と馬の巡礼が認められている。
徒歩と自転車の巡礼は結構見かけるが、ほんとうに馬の巡礼さんもいた!
巡礼者同士に出会うと「オラ!」(やぁ!)「ブエン カミーノ!」(よい巡礼を!)と声をかけあう。
この馬のおじさんも「ブエン カミーノ!」と手を上げてくれた。
馬だとさぞかし早いだろうと思ったら、途中草を食べたりして結構のんりしている。
徒歩の方が早い(笑)
こんなモニュメントがところどころにあって巡礼をはげましてくれる。
田舎に行くとこんな道が続く。
途中コンビニはおろか店も、いや集落さえめったにない。
この近くの巡礼宿はクローズとなっていた。
ここまで巡礼のマークに従って来たがどうも様子が違う。
どうも行く人が少ない田舎の「通の道」と、多くの人がたどる道があるらしいのだ。
初日からいきなり「通の道」に入り込んでしまった!
どうりでえらい過酷な道だと思った・・・
野宿も頭をよぎったが、こんなところで初日から野宿というのもあれだ!
あれすぎる!
何も食べていない。
こんなところなので何もない!
素人の私はただマークをたどるだけでいいのかと思って調子にのって進んでいたら、エライことになってしまった。
だからここから先は写真がない。
生きるか死ぬかの時に写真など撮ってる場合ですか!
まあ暖かい季節なので野宿しても死なないかもしれないが、食べ物もなにもない。右も左もわからないスペインで!
それに乾燥した風が砂を巻き上げている。
えらいこっちゃ!
ということで、マークだけに頼らず、落ち着いてルートファインディングを行い、一般ルートへの復帰を目指すことにした。
うまくいけばここからもうひとふんばり、2、3時間歩けば、一般ルートの巡礼宿(アルベルゲ)にたどり着けるはずだ。
しかしアルベルゲは先着順であり、ただでさえようやく昼過ぎに巡礼手帳(クレデンシャル)を手にして歩き始め、通のコースに迷い込んでしまっている。
通常は朝から歩き始め、昼頃には到着するよう計画する。
実際、私がレオンで昼頃、巡礼手帳(クレデンシャル)を作ってもらった時には、すでに大勢の巡礼者がこの宿に到着し、手続きのために長い列を作っていた。
運よく宿についてもそこに泊まれる保証はないのだ。
特に大いに遅れて到着する人には!
しかも「通のコース」から一般巡礼路に行くためには、巡礼路でも何でもない田舎道を延々と歩かなければならない。2、3時間以上も!
もちろんずっと舗装もされていない道だ。
しかし歩ききって何とか町にたどり着いた。
そこから地元の人にアルベルゲの場所を聞きまくった。
皆とても親切に教えてくれる。
スペイン語で!
誰も英語を話してくれない。
しかも肝心なところをスペイン語でまくしたてる。
しかし雰囲気と身ぶりでつかむ。
こちらも必死だ。
で何とか初のアルベルゲに到着した。
ベッドも空いていた。
学生時代以来のドミトリー相部屋だ。
5ユーロ。
暖かいシャワーもでる。
ほんと涙がでるほどありがたい。
夕食を7ユーロで作ってくれた。
もう一歩も歩きたくなかった。
これも写真を撮り忘れたが、たくさんのパンとボリューミーなマカロニグラタン。
最初はこれだけかなと思った。
冷えたミネラルウォーターも1リットル出してくれた。
たった7ユーロだ。
そしたら次に鶏肉をオーブンで焼いたの。
スイカにアンズにオレンジこれもいっぱい。
最後に市販品だがレモンのヨーグルト。
だから食事もボランティアみたいなものだ。
自分でやったら材料費だけで越えてしまう。
食器は強度のある樹脂みたいな安っぽいのだがそれがなんだ。
サンミゲルのビールも自動販売機で1.2ユーロ(130円)
究極のぜいたくに思えてくる。
清潔なベッドで寝れてしあわせ。
もう何もいらない。
恵まれすぎ。
スペイン巡礼宿の心意気を感じるのであった。
しかし、あと300km歩き通せるのかな・・・