モンゴルの遊牧民は夏に肉を食べなかった!

現在のモンゴルの遊牧民のゲルではソーラーパネルで発電してバッテリーに貯めて電気を使っています。冷蔵庫に肉も保存してあります。しかし、そういうものができたのも近年のことで「それ以前は夏に肉はどうやって保存していたのか?」とモンゴル人に質問しました。

モンゴルの遊牧民は夏に肉を食べなかった

その答えは「夏に肉を食べていなかった。」というものでした。

私は遊牧民=肉食と思っていたので、たいへんに驚きました。

春、出産の時期を迎えると家畜の乳が出始めます。

なお、上の写真のように遊牧民は必ず子供の分の乳を残しておきます。

遊牧民の間には「とれるだけとる者は滅ぶ」「子供の分を残しておく者が繁栄する」みたいな格言があるそうです。

その乳が出る春から夏、秋までの季節は、基本肉を食べなかったそうなのです。

彼らは乳から色んなものを作ります。

チーズやヨーグルト、馬乳酒などなど・・・

こういうものを彼らは「白い食べ物」と呼んでいます。

家畜から乳が出る春、夏、秋は基本「白い食べ物」を食べ、遠くから大切な友人が来るなど「特別な時」に主に羊、その日か翌日までに食べきれる小型の家畜でもてなすことがあるくらいで、冷蔵庫は必要なかったそうなのです。

だからモンゴルで肉というのはまず羊です。

牛は大きいので食べきれないからです。

なるほど~

冬になって気温が下がり、家畜の乳が出なくなるとしかたなく、家畜を殺して食べて冬を過ごし、春を待ったのだそうです。

なお、羊一頭で大人10人分の食事になります。だからチンギス・ハーンの騎馬隊は10人が基本単位で、それが10個集まって100人隊長、それがまた10個集まって千人隊長という風に、10進数で騎馬隊が編成されました。それは羊一頭が10人分の食事からきているそうです。

遊牧民は肉を常食すると健康に悪い事を知っている

また遊牧民には夏に肉を食べ続けると健康に悪いという知識があります。春・夏・秋には「白い食べ物」を食べることは、健康のためにもとても大切なことなのだそうです。

肉の常食がよくないことは遊牧民の間でも常識だったのです。

なぜ農耕をしないのか?

春気温が上がって夏の間は野菜などの農耕もできると思うが、なぜゲルの近くで野菜などを作ろうとしないのか?と質問しました。

すると、野菜が育つのはその通りで、都市近郊では農耕をする者もいる。

しかし野菜が育つ季節というのは、牧草が育つ季節でもある。

同じ土地に留まって農耕を続けるか、新しい牧草を求めて家畜を移動させるか二者択一を迫られる。

すると遊牧民にとっては、ひとつの土地で「野菜などを収穫」するより、牧草地を移動して「乳などを収穫」し、家畜を繁殖させる方が、ずっと効率がいい。

「乳などを収穫」し、それを野菜などと交換すればいい。

家畜の世話も結構忙しく、農業と両方やることは難しい。

だから彼らは農耕を一切せずに、遊牧に専念する道を選んだのだそう。

なるほど。

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